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作品サイズ タテ180cm×ヨコ180cm 作品拡大

 

 

オーストリア

ノーザンテリトリーの

レイカードグラスホッパー

 

3000年くらい前のアボリジニーの壁面には、

いつも雷と一緒に真っ赤なバッタが描かれていた。

彼らが「雷の子」と呼ぶ真っ赤なバッタは長い間アボリジニーによる

想像の昆虫だと考えられていたが、

数十年前実際に真っ赤なバッタが発見されて、実在していたことがわかった。

レイカードグラスホッパーと名づけられたこの真っ赤なバッタは

大昔からアボリジニーにとって尊敬の対象だった。

レイカードグラスホッパーは荒れ地に生えるピレロディアという

毒のある植物にすみ一生を終える。ほかの生き物にとっての毒素が

レイカードグラスホッパーにとっては生きていく上で、

無くてはならない栄養素らしい。

サバイバルの本能が極端に少ないこのバッタは

火に対する恐怖心もなく、野焼きでまわりが火につつまれても

悠然としたまま焼け死んでしまうことも少なくない。

まれに自分たちのピケロディアを食べつくしたときは、

ピケロディアの群生する違う場所を探すたびに出るが

何故かこのバッタはまっすぐにしか歩けないので、

最初に向いた方向にしか進むことができない。

また、ひと株のピケロディアに一匹づつ暮らすこのバッタが雨季になると

一番おおきなピケロディアに集まりけんかをしながら

強い順に高い位置を確保していく。

これは秋に突然発生する濁流の川に流されないための生存を賭けた

彼らにとって唯一の本能らしい行動だ。

大昔この大陸は空と大地とピケロディアとレイカードグラスホッパーしかいない、

そんな世界だっただろう。ほかの捕食動物もアボリジニーも

皆かれらよりも随分あとにこの大陸にきたんだろうなあ。

多分そのころとあまり変わっていない

あの広大な景色を思い出しながらこのバッタをつくった。

 

 

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